全国の生協では、東日本大震災を忘れないとりくみをすすめております。
みやぎ生協から届いた被災地・宮城のいまをお伝えします。
第49回2017年9月5日
生き辛さを抱える移動困難者たち
高齢や障がい、病気などで歩行が難しく、“自力では行きたいところに行けない”人たちを
移動困難者と言います。
どの地域にもいる移動困難者が、いちどきにたくさん、極限の状態で出現したのが6年前の
震災でした。
以前から移動に困難を抱えていた人は震災でより状況が悪化しました。震災前は車で移動して
いた人も、車を流失して免許を返納したり、家族と生活を分けたために送迎してもらえなく
なったりして、通院や買い物が難しくなりました。
また避難生活が長期化するなかで心身が弱り、外出の機会が減るなどの条件が重なって介護度
があがるという悪循環も生まれました。
「移動支援Rera(レラ)」は、石巻エリアの移動困難者を対象に送迎支援を行なっている
NPO法人です。利用者は1日平均延べ70人、年間で約2万人。約9割が通院目的で、利用者
からは「レラさんのおかげで病院に行ける事がありがたい」「レラがないと寝たきりになる
と思う」などの声が寄せられています。
Rera代表の村島弘子さんは「自立生活を何とか維持できていて、これからも維持したいから
移動を手伝ってほしいという方が多い。外出を止めれば介護度があがるのに、その外出に
対する支援が空白になっている」と話します。
障がい認定を受けている場合など行政からタクシー券の支給はありますが利用額は決して十分
とは言えません。「“親の通院にかかるタクシー代を払いきれない。自分が送迎するため離職
したら収入が断たれる”。そんな切羽詰まった相談もあります」。
Reraが活動を始めて6年5カ月。「仮設住宅が解消されたら活動に区切りをつけようと
考えたこともあるのですが、いま止めると“生きていくのが大変な人たち”がますます困窮する
と思い、続ける決意をしました」。
被災地ではいま新しいまちづくりが進んでいますが、移動困難者の存在は復興の陰に隠れて
見逃されがちです。移動困難者の生き辛さに気付き、“公助”はもとより、地域での“共助”を
どうつくっていくかが問われています。